強風によるクレーンの倒壊災害の防止について
事務連絡
平成11年 9月30日
都道府県労働基準局
安全主務課長 殿
労働省労働基準局安全衛生部
安 全 課 長
強風によるクレーンの倒壊災害の防止について
去る9月24日、台風18号の通過に伴う強風により、製造中のコンテナクレーンが倒壊し、近くの事務所棟を押し潰し、事務所内で働いていた7名の労働者(死亡3名、負傷4名)が被災するという重大災害が発生したところである。
今回の倒壊災害の概要については別添のとおりであるが、これまでも強風によりクレーンが倒壊するという事故が発生しており、今後における同種災害を未然に防止するため、クレーンを製造又は設置している事業場に対し、台風が通過する等今回のような強風が予想される場合には、クレーン等安全規則に定める措置を講ずるほか、
① 脚部分を強固に固定する等の倒壊防止の措置を講じること
② 倒壊防止措置を講じた時点で想定したもの以上の強風が予想される場合
には、クレーンの倒壊による被害が及ぶおそれのある区域の労働者を退避させること等、クレーンの倒壊による労働災害の防止対策の実施について指導されたい。
別 添
台風による製造中のクレーンの倒壊災害の概要
1 災害発生日時
平成11年9月24日午前9時40分頃
2 災害発生事業場
三菱重工業(株)広島製作所江波工場(広島市中区江波沖町)
3 災害発生状況
工場の敷地内で製造中のコンテナクレーン(つり上げ荷重50.8t、高さ約80m、質量約950t)が折からの台風18号の接近による強風により倒壊し、近くの2階建ての事務所棟を直撃した。直撃を受けた事務所棟は東側半分が押し潰され、事務所内にいた労働者7名が被災した(死亡3名、負傷4名)。
敷地内には、他にも同じ型式のコンテナクレーン3基が製造中であり、そのうちの1基も強風により倒壊し、近くの建屋を押し潰したが、人的被害はなかった。
倒壊して人的被害を及ぼしたコンテナクレーンは製造中のものであるが、構造部分はほとんど組立が修了しており、被災発生当日は、走行措置が取りつけられていない状態で、4箇所に設置された台座の上に仮置きされていた。
なお、災害発生時、広島市内の気象台においては最大瞬間風速49.6m/secを記録している。